JUG A BILLY CATS

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ウッシーのコラム

不愍の巻

2015年12月09日

深閑とした年の瀬の夜。
まだ些かの騒がしさを残しつつも、街は冬の装いに勤しんでいる。
もう幾分すれば暗然の底に沈んでゆくのだろう。
新春の麗らかな気配はまだ遠くあっても、どこか淡い旅情にも似た寂しさが
胸の奥をすーっと転がっていく。
時折、そんな寂寞に堪えられず、意味もなく車を走らせては
見ず知らずの土地で行き場のない空心を解放してやる。
じっとしていては、鈍重な冬の夜に飲み込まれてしまいそうな気がするのだ。
年甲斐もなく、哀れな不愍を感じながら
毎夜、迫りくる夜から逃げるように眠りに就くのであった。

露寒の巻

2015年12月04日

冬の匂いがしている。
晩秋は眇々と時を刻んで、長い冬の気配にゆっくりと身をひそめていく。
都会の喧騒の中にも、季節の移ろいというやつは確かにあるものだ。
小さいながら懸命に街色を変えている。
田舎にいたころは、目に見えて世界が変わってゆくのを体感できた。
野山は茜色に染まり、鳥威が侘しく揺れる刈田に夕日が映える。
閑散としていながらも、どこか温かく人情じみた風景がそこには広がっていた。
寒くなるにつれ、街色は温かく変わってゆくのだ。
露寒の朝に、ふと郷愁に駆られ立ち尽くす。
その憂苦にも似た感情は、かつての風景に重なり、感傷へと変わっていく。

つむじまがりの巻

2015年11月29日

更新がえらく滞ってしまった。
またしても根も葉もない噂話が巷を流れていることだろう。
やれ「寿司職人になった」とか
やれ「南極観測隊に入った」とか。
ここ暫くは猫の手も借りたいほどに公私とも激務であったわけだが
無論、私は今まで通りこうして健在である。
最近、街ゆく学生を見かける度に、妙な切なさを覚える。
羨ましさのような稚拙な感情ではなく、何とも掴みどころのない物思い。
単調なようで新鮮だった毎日。
いつか描いた夢の轍、叶った恋、消えた恋。
それら戻らぬ青春への憧憬が濛々と湧きたってくるのだ。
同時に、彼らが今こうして若気を謳歌していることに嘆美してやまぬ。
後悔の念など別にない。
い や、寧ろ今の方が何かと恵まれているのは事実だ。
しかし、あの紅く輝いた純麗の日々に思いを馳せれば
目の前の日常など途端に霞んでしまう。
懐古すればするほど、未だ色褪せない昔歳が胸の内を叩くのだ。

ルーツの巻

2015年11月06日

音楽のルーツは何かと、よく問われることがある。
「音楽にルーツなんて特 にない」と答えると
狐につままれたような顔をして驚かれる。
音楽をやっているならルーツがあって然るべきという
何ともよくわからない風潮が音楽業界にはあるみたいだ。
私にとって音楽が生活スタイルに影響を与えているわけではなくて
生活スタイルの延長線上に音楽があるだけである。
だから私にとってのルーツとやらを紐解けばホットロッドやスケートボードカルチャーで
車、バイク、タトゥー、スケートボード・・・
それらと同様にロックンロールといった音楽があるだけだ。
かといってロックンロールがルーツだというわけでもない。
感化を受けた音楽なんて、山のようにある。
結局のところ、本人が確立した生活スタイルを持ってなければ
どれだけルーツだ 何だと言ったところで音楽がそこにリンクするとは思えない。

装いの巻

2015年10月24日

今年も金木犀の甘く優雅な香りが漂い始めた。
かつては、その秋の訪れに伴い、浮ついた心持ちを持ったものだが
今ではどこか妙に心苦しく、言いようのない喪失感まで感じるようになった。
歳を重ねたところで何も変わりゃしないと思ってはいても
やはり重ねた分だけ遠退いてゆく何かがあるのだろう。
別段、神妙になっているわけではない。
色々と考える年頃というやつだ。
何でもない小説の一文に、ほろほろと涙を零してしまったり。
何でもない言葉の一脈に、おろおろとたじろいでしまったり。
まるで思春期の乙女のごとく、感受性の高ぶりを感じている。

風化の巻

2015年10月11日

5年ほど住んだ今の家から引っ越すことにした。
窓際のチェストの木目が随分と陽に焼けている。
置きっぱなしだった雑誌の山をどけてみると
まだここに来たばかりの頃の、濃いニスの色が残っていた。
ついこの間引っ越してきたような気がする。
しかし、こうして確かに時間は流れているのだ。
そして、これからも同じように流れてゆく。
妙な虚無感が全身を走っていくのを感じた。
このチェストのように、誰もが抗うことのできない現実と対面している。
みな気にかけぬよう過ごしてはいても
ほんの些細な物事が、とてつもなく大きな虚しさを連れてくることだってある。
時間の流れと いうのは残酷なものだ。
この窓から見える景色も、匂いも、もう暫くすればお別れなのだと思うと感慨深い。

清涼の巻

2015年09月14日

穏やかに流れる雲の向こうで
秋麗な空が広がっている。
落日ともなればそれは
熟れた無花果の果肉のように生々しく紅い。
生命の息吹、大地の鼓動。
美しく燃え上がる。

幽暗の巻

2015年09月09日

ふと目を覚まして
窓の向こうが薄暗くあったときなんかは
えも言われぬ感情に苛まれるものだ。
それが白み始めた朝であっても
暮れ始めた夕刻であっても
妙な寂しさが胸を埋め尽くしてゆく。
その鈍重な暗がりに怯えるようにまた静かに目を瞑ると
今度は朗らかな安堵感が私を包んでゆく。
そういう瞬間にこそ、小さな幸せなんてものを垣間見たりする。

明暗の巻

2015年09月03日

夕涼みの、ほんの僅かな明暗の中で
残暑の匂いが行き場なくわだかまる。
進むことも退くことも恐れているように
それはただその場で悶々と夜風を待っているのだ。
夜風にさらわれてしまえば、何の気概も持たずフッと消え去れることが出きる。
誰の目にも留まらず、誰の記憶にも残らず
まるでそこには何もなかったかのようにゼロになれる。
人生は風雲の如し。

砂の巻

2015年08月28日

湿った砂を詰め込まれたように下肢がだるい。
先日、早朝からフットサルに一喜一憂したのだ。
それなりに運動している方だと自覚していたが
そんな下らぬ自負は、ものの数分で粉々に砕け散ったのであった。
人はこうして老いぼれてゆくのか。
気付かぬうちに肉体は耄碌し、じきに言うことをきかなくなるのだ。
なんと恐ろしいことだろう。
常日頃から体力をつけておかねば、やりたい事もロクにできん。
どれだけ夢があれど、それを実行する体力がなければ無意味じゃないか。
健康こそが人生を楽しむモチベーションである。

 
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