JUG A BILLY CATS

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ウッシーのコラム

粉灰の巻

2015年12月25日

忘年会ラッシュも落ち着き、あとは朗らかに年の暮れを迎えるのみである。
今年も色々とあったもんだ。
今思えば捨鉢のようなこの人生、何でも思い通りにゃいかぬもの。
緩怠にふんぞり返り、女を囲って酒池肉林に溺れるような生活は
誰でも一度は夢見るものだが、大体の者は 性に合わぬ。
やはり両手に収まる程度の日銭を抱えて
切磋琢磨に日々をやり越す方が何かと楽しいものだ。
無い袖を振りながらも気随に生きているやつを見ると何とも嬉しいではないか。
おそらくこの先、どうひっくり返っても富や名声など手に入りそうもない。
宝くじが当たるほど徳も積んでいないし、
玉の輿を狙うにしても、周りには社長令嬢どころか、男勝りに酒を煽っているならず者ばかり。
早いうちに見切りをつけて、このボンクラ人生に花を咲かせてやろう。
どうせロクな死に方せんだろうし、頑張って人並みに人生終えることが出来ても
墓石に落書きでもされるのが関の山である。
誰かにくれてやるような遺産もなし。
お陰さんで、相続問題なぞ一切気にせずに済む。
どうにかこうにか生きてきて
シャブ中にもアル中にも堕ちることなく、健常な五体でこうして過ごしているのだから
余計な贅沢など言えるはずもない。
やるだけやって、粉灰に散るのみ。

風化の巻

2015年12月25日

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』
いつか観ようと思いながらも、気づけば数年が経っていた。
いや、心のどこかで拒絶し、遠ざけていたのかもしれない。
あらすじを読んだとき、これは絶対に観れないという確信があった。
それはまるで自分自身の過去を投影しているようなストーリーであった。
たかだかアニメでそれほどに心驕が揺らぐなんて馬鹿にされそうではあるが
胸の内の古疵なんて、ほんの些細な言葉、匂い、風景ひとつで簡単に開いてしまうものだ。
しかし、私ももういい大人だ。
感情移入など捨てて、ただのアニメとして観てみようという気になった。
ところがそんな細々とした自尊心は1話目から粉々に砕かれ
誰もが大人になるにつれ抑え込んでいく少年時代の面影が
ウズウズと胸の内で蠢くのを堪えるので必死であった。
もう二度と戻ることのない、あの夏の日。
それが突然目の前に現れたかと思うと、掴もうと思っても掴めずに消えていく。
出来ることなら、止まった時計の針を動かすように、すべて元通り戻すことが出来れば。
しかし頭上の雲のように、あんなにも近くにあるものがとてつもなく遠く感じる。
手の届かぬ葛藤、紛擾、心の軋み。
あれほど遠い昔のことが
今もまだ色褪せることなく心の隅にそのまま居座っていることに驚く。
あの時の気温も風も匂いも言葉も
まるで少し前の夏の出来事のように明瞭と想い返される。
なぜあの時あんなことを言ってしまったのか。
なぜあんな風な態度を取ってしまったのか。
また今度謝ればいいと思っていた。
しかし、その今度という時はもう永遠に来ることはなかった。
時間というものは残酷で、長い長い年月は物事を風化させてしまう。
いいことも、悪いこともすべて。