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ウッシーのコラム

隠微の巻

2015年05月19日

人の心の隠微とは裏腹に
夏の爛発たる訪れというのは誠に気持ちがよい。
土の匂い、肌を舐めるような夜の風。
その初夏の訪れに唆されて
今年もすでに浮き足立って過ごしている次第。
鮭が激流を溯上していくように
私の中の何かが足元からゾワゾワと上がってくる。
陽の漏れる歩道を歩くと
一時の荘厳な装いを捨て、新緑にまみれてしまった桜の木が
粗笨でもあり、どこか潔く一層強くあるようで
あまりに人間味を帯びたその佇まいに息を呑む。
鈍重な冬の町並みとは打って変わって
軽快で麗らかな群青の空がうんと遠くまで続いている。
それが恐ろしいほどに美しいのだ。
どれだけ世界が醜く汚れてしまっても
康寧な空だけはいつだって何も変わらずそこに在り続けるのだろう。