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ウッシーのコラム

淳二の巻

2014年12月20日

稲川淳二といえば、もはや夏の風物詩といっても過言ではない。
ところが、この大寒波吹き荒れる年の瀬に
稲川淳二の怪談ナイトが開催されるということで
物好きな友人たちと集まり参加してきたのだ。
会場は小さなライブハウス。
そこに50席ほど椅子が並べられ、無論満席である。
暗転と同時に妙な緊張感が 走り
不気味なSEとは裏腹に剽軽な笑顔の氏が登場すると
フロアからは『淳ちゃん!』とか『淳二!』とか
まるで歌手のライブのごとく声援が溢れる。
その一つ一つに手を振り終えると
落語家のように小さく椅子に腰掛けた。
ドロドロと不気味だったSEは気付かぬうちに虫の鳴く音に変わっている。
他愛のない世間話に笑いのエッセンスを交えながら
フロアの温度をゆっくり上げていくところは
さすが10年以上も怪談をやり続けるベテランだ。
知らず知らず客席が前のめりで耳を傾けていく。
まず氏は『怪談とは何ぞや』という持論から語りだした。
その一つ一つの言葉に
『あぁ、この人は本当に怪談を愛してるんだな』という
熱意や情熱のようなものを強く感じる。
河童の怪談を取り上げながら
怪談がどういう経緯で怪談となったのか
その怪談が持つ悲しさや人間模様をゆっくりと語る。
氏の言う怪談とは民俗学や地域風習などの面白さが根底にあって
ただ『怖い話』という単純なものではないようだ。
なるほど、実に面白い。
そういう解釈をしたことはなかった。
つまり話が怖いかどうかは重要ではなく
氏の目指す怪談というのは
それぞれの話に基づいたドラマをも汲み取ることで
日本古来の生活風習や文化、民族性に触れることにあるのだろう。
事実、会場はときに笑い声が混じり
『怖さ』に執着している感じはまるでなかった。
子供の頃に田舎の婆さん家で昔話を聞いていた時のような
怖いようで楽しくて温かい、そんな心 地の良い空間であった。
余談ではあるが
稲川淳二の怪談は画が浮かびやすい。
さすが元テレビマンといったところで
背景描写やコマ割りがとても上手く、映像を観ているようにテンポがよい。
そして氏が唐突に発する擬音。
『コツッコツッ』『カランカラン』『ギィギィ』
このタイミングに合わせてPAがリバーブをかけ臨場感を煽る。
阿吽の呼吸というやつだ。
とてもいいものが観れた。