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ウッシーのコラム

美化の巻

2014年10月16日

あっという間に冬の気配が訪れた。
まだ指先に残る温もりや柔らかさが一層に風の冷たさを際立たせて
独り過ごす晩秋の夜に溶け込めもせず頭を垂れる。
旅愁にも似た心寂しさはいつまでも胸の底を突いてやまない。
故郷を想うように、いつかの夢心地を思い返してみては
錆びついた刃物で切られるような鈍い痛みが胸を駆け抜ける。
どうにも居た堪れなくなって読みかけの小説を手にとってみると
ページを捲る度に、古本のあの甘菓子のような気だるい匂いが鼻を抜ける。
その度にまた過去の記憶がショートフィルムのように蘇って
結局は四六時中に物思いに耽っているのである。
男というのは過去に拘る生き物だ。
どうも過去を美化したがる。
後悔まで美化してしまうのは正気の沙汰ではない。