きんもくせいの巻
2013年09月04日
遠い世界に飲み込まれるように沈陽が小さくなっていく。
朱色に灼けた空は音もなく夏の終わりを告げているように見えた。
初夏のざわめきも残暑の侘しさも、その朱い空に混ざって刹那に消えていくのだろう。
何とも感慨深い季節頃である。
バルコニーに金木犀を植えてやろうかとも考えたが
恐らく虫たちの巣窟になるのが関の山だ。
それに金木犀の匂いというのは、ふとした時に秋風に乗って鼻先を通り過ぎるからこそ
『あぁ、秋だなぁ~』なんてシミジミと陶酔することができるのであって
常々ずっと金木犀の匂いを嗅いでいたら気でも狂いそうである。
しかしながら、金木犀のあの芳香はなぜあんなにも心を落ち着かせるのだろう。
ビニール袋に匂いを詰め込んで 持ち歩けばいつでもトリップ可能ではあるが
道端でスーハースーハーしてたら職質どころか連行の可能性もある。
そのように人々を魅了してやまない金木犀。
今年も独りぼっちの夜に咲き乱れてくれるのだろう。
チキショー!