里帰りの巻
2013年08月20日
みな里帰りから戻ったのだろう。
しばらく明かりの少なかった向かいの団地に、またいつもの日常が戻ってきていた。
カーテン越しにそれぞれの幸せが揺らめいているようで、独り身の私には妙に堪えた。
人様の幸せを素直に祝ってやれるほど余裕のある人生ではないものの
やはり大人になるにつれて少しずつ『幸せ』に対する考え方も変わってきている。
そもそも幸せだなんて口にするだけでも歯痒かったはずが
いつしか人の幸せに同調して心温まるような、まるで善人じみた心持ちを覚えるばかりだ。
他人の不幸は蜜の味とよく言うけれども
本当に他人の不幸で飯が食えるような極悪人はそういないだろう。
『人間みんな呪ってやる!』なんて怨念に満ちたような人間であっても
小さな幸せ一つで心が揺れ動いたりするものだ。
自分の幸せばかりを追い求めていても、それが虚しさに変わってしまう時期がある。
その虚しさといったら、まさに不幸 とも呼べるほど嫌悪に満ちている。
