JUG A BILLY CATS

BLOG

ウッシーのコラム

坦懐の巻

2013年07月22日

耳の底を劈くような蝉時雨を抜けて小学校の門をくぐる。
何年ぶりだろうか。
選挙というものがなければ、この歳になって小学校へ足を踏み入れる機会などなかっただろう。

夏休みに入り、人影の消えた校舎は少しひんやりとしていて
普段なら子ども達の賑やかな声が響いている廊下も静寂の中に寂しく佇んでいる。
それが遠く騒がしい蝉の声と相反して、まるで別の世界にでも来たような錯覚を覚えた。
そしてホコリとカビの匂いが古い記憶を弄るように鼻先を掠めて
つい懐かしさに立ち止まっては小さな運動場に過去の自分を投影するのだった。

投票を終えて、そのまま田舎へ帰省した。
帰省といっても実家には寄らず、数年ぶりに旧友が集まり昔話に花を咲かせて帰って
きた。

それぞれが大人になり家族を持っても
他愛のない話でゲラゲラと笑い合う感覚は学生時代と何ら変わってはいなかった。
時間だけが勝手に一人歩きをして、自分たちはあの時のまま同じ場所に立っているような気がした。
それが妙に嬉しくも寂しくもあり、何とも言えぬ感情が胸を満たしていった。

過ぎ去る時の速さに蹌踉することは、ある種幸せなことかもしれない。
立ち止まり、鑑みて咀嚼することで人生をもっと深く味わうことが出来る。
時の経つことを忘れてしまえば、気付いた時には老いぼれていることだろう。